アメリカの商品先物取引委員会CFTCは12/1(金)、シカゴにある大手先物取引所シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)とシカゴ・オプション取引所(CBOE)のビットコイン先物上場を認める内容を発表しました。
これを受けCMEは一足先にビットコイン先物を18日に上場させると発表しました。
CMEとCBOEはアメリカの伝統的な先物取引所で、今回のように仮想通貨に関連する金融商品が取り扱われるのは初めてです。
CFTCは今まで仮想通貨の先物商品を認可していませんでしたが、CMEやCBOEと議論を重ねた上で、今回のビットコイン先物上場の承認に至ったようです。
それではこの上場が一体何を意味するのか具体的に見ていきましょう。
そもそも先物取引とは?
今回のニュースはアメリカの大手取引所でビットコインの先物取引が可能になるといったものです。このニュースはどうやら大きな話題を呼んでいるようですが、その前にそもそもこの先物取引とは何でしょう。
先物取引とは、特定の商品を特定の金額で売買するという約束を結び、それを先の期日に成立させる取引をいいます。
例えば、AさんがBさんから「1BTCを100万円で買う」といった契約を結びます。そして、「お金の受け渡しは3か月後の今日行う」といった形で契約を成立させる日にちも指定します。
なぜこのような先の取引を現時点で約束するかというと、お互いが相場の変動による利益を得られると考えているからです。
ここでAさんは、約束の3か月後に契約通り1BTCを100万円で買うのですが、そのときのBTCの相場が1BTCに対し、120万円だとすればどうでしょう。
本来は120万でしか買えないBTCを100万円で買えたこと、つまり20万円得したことになりますよね。
反対に、3か月後のBTCの価格が1BTC=80万円だとすればどうでしょう。Aさんは20万円の損、Bさんは20万円得をするということになります。
このように、取引をする人たちが各々先の相場を予想して、取引内容を現時点で決定することを先物取引といいます。
それでは、この先物取引がビットコイン市場にどうのような影響を与えるのでしょうか。
先物開始がこんなに騒がれている理由は?
今回のビットコイン先物上場が話題となる一番の理由は、これにより多くの機関投資家が投資を開始するといった見方が増えているからです。
機関投資家とは、生命保険会社や信託銀行といった顧客の資金を元手に投資を行う大口投資家を指します。
この機関投資家は、投機的なハイリスク・ハイリターンよりも、どちらかといえばリスクを回避することに重点を置いた投資を好みます。
そして将来の契約を現時点で結ぶ先物取引は、機関投資家にとってリスクを回避できる大変利便性の高い商品だと考えられているようです。
またCMEやCBOEといった取引所はアメリカ連邦政府によって監督されている取引所なので、信頼もあるといった意味から多くの機関投資家の注目を集めています。
こういった理由から、多くの機関投資家がビットコイン市場に参入し、これからさらに市場を活性化させるのではと考えられています。
(↑CMEのビットコイン先物上場の可能性が騒がれたとき、資金流入の期待から$6,000だった価格が一気に$8,000を超える価格がつきました。)
しかし、一方では機関投資家の巨額な資金の流入で、価格に大きな変化が出てしまうと警戒する人もいます。
例えば、ビットコインの価格が高騰を続け価格が落ちると判断された場合、機関投資家による激しい空売りが行われることも予想されています。
これに対し、CMEやCBOEは相場が前日より7%と13%と上昇した場合、相場を一定時間停止するといった値幅制限を設定するといった対処を取ると発表しています。
しかし機関投資家の運用する資金は巨額なので、急激な価格変動の波が一般投資家にも押し寄せる可能性がないとはいえません。
またこれをきっかけにETF(上場投資信託)のような投資信託にも仮想通貨の取扱が開始され、これにより投資家の資産にリスクが出るといった声もあります。
ビットコインキャッシュも先物取引が開始される?
商品先物取引委員会CFTCの認可を受け、CMEは一足先にビットコイン先物を18日に上場させると発表しました。
これに対しライバルのCBOEはビットコインキャッシュ先物を年末には上場させるかもとの報道があります。(CBOEの代表が、これからさらに他の仮想通貨を先物上場させるとほのめかしたようです。↓)
Cboe's president hints at ether and bitcoin cash futures https://t.co/XfbMbSb8yR pic.twitter.com/8hX7UzuPjO
— Business Insider (@businessinsider) 2017年12月1日
そして、今回の発表により他の取引所もビットコインの先物商品の上場を急いでいるという話です。
ビットコイン先物上場の反応を見れば、ビットコインキャッシュの先物上場も価格を大きく上昇させる可能性があります。
また今回のビットコイン先物上場を皮切りに、これから一層に仮想通貨市場がいい意味で活発に、悪い意味で荒れるといわれています。
イーサリアムやライトコインといったアルトコインの先物もどんどん増えるのでしょうか。
そうなれば、アルトコインの価格も上昇するのはまず間違いなさそうです。今のうちに投資しておけばとならないよう、これからも先物取引の動向に注目です。