仮想通貨を決済手段として利用する例は増えています。現在モノやサービスを交換した時の支払いに仮想通貨を使用できる店舗も多くなっているようです。
しかし仮想通貨は値動きが激しいため、まだまだ投機的な取引での利用がほとんどです。
これに対し、日本の金融庁はこの価格変動の激しい仮想通貨にどう対応すべきか頭を悩ませています。
規制をすべきか放任すべきか、日々拡大を続ける仮想通貨に現在日本はどのような対応を行っているでしょうか。
仮想通貨取引にかかっている規制
現在日本には、仮想通貨への法的措置として仮想通貨法というものがあります。
これは2016年5月に可決され、2017年4月に施行された法案で、今まで明白ではなかった仮想通貨を定義し、交換のルールや利用者を保護する制度を整備するといったものです。
具体的には、登録制の導入や利用者への情報提供の義務付けなどを、仮想通貨交換業者に課しています。
この仮想通貨法はどちらかといえば、利用者保護の観点から仮想通貨交換業者にルールを整備したものと言えます。利用者が受ける影響は取引を行う時に公的証明書を提出しなければいけなくなったという程度です。
しかしこれをきっかけに、以後利用者の取引が制限されてくる可能性がないともいえません。
現にこの仮想通貨法によって、審査に通らない取引所が事業を撤退するといった事態も起きています。
また取引所が監視下に置かれるということで、仮想通貨の種類によっては必然と排除されるものが出てくるということになります。
これにより、利用の安全や市場の安定が図られることになりますが、仮想通貨の醍醐味である大きな価格の変動や、1000種類以上あるという選択の幅が制限されるようになるかもしれません。
お隣の韓国や中国は?
仮想通貨には企業がトークンとよばれる独自コインを発行し、仮想通貨で資金調達を行うというICO(イニシャル・コイン・オファリング)というものがあります。
今やこのICOは、購入したトークンの価格上昇で莫大な利益を得たなど話でおなじみですが、2017年9月、中国政府が企業や個人へのICOを全面禁止しました。
これにはICO詐欺の防止やマネーロンダリング対策に目的があると言われていますが、その他にも政府がリスクをコントロールできないといった懸念もあったようです。
これを受けてお隣韓国も、同月にICOの全面禁止を発表し、同時に仮想通貨取引に使用する資金の貸し付けも禁止しました。
この韓国の規制も詐欺行為や投機性を懸念して取られたものと考えられています。
中国に続き韓国も仮想通貨への規制を強め、ここ日本でも仮想通貨の盛り上がりから、ICO詐欺やマネーロータリングという言葉を耳にするようになりました。
これから日本政府も規制強化といった対応を取ることになるのでしょうか。
仮想通貨の容認や緩和を進める国
仮想通貨への規制が強まっている東アジアですが、海外には仮想通貨に友好的な国が多くあります。
2017年8月、フィリピン中央銀行は国内の仮想通貨取引所を正式に許可し、仮想通貨の取引を合法化しました。これにより円やドルといった法定通貨も交換できるようになっています。
仮想通貨の浸透度が低いといわれているタイでは、政府がタイ銀行に対し国の競争力を削ぐような規制を緩和することを指示しています。
第3位の金融センターであるシンガポールは、規制を最小限に留め、仮想通貨交換業者の認可も必要ありません。
また最も非集権的国家といわれているスイスでは、各州によって税率が異なり、外国企業に優遇税制をとっているツーク州には、仮想通貨関連のスタートアップが集結しています。
海外で仮想通貨取引を行う必要性も
各国の仮想通貨への対応が異なる中、仮想通貨を奨励している国で取引を行う傾向はますます増えるでしょう。
今後日本で規制が進むとすれば、海外取引所で取引を行う必要性が出てくるかもしれません。
現に仮想通貨法のように政府の監視下が始まっており、これから取引などの制限が出てくる可能性もあります。そんな時、海外取引所にアクセスを持っていれば様々な対応ができるかもしれません。