仮想通貨の取引には様々なリスクが伴います。利用者のビットコインが消失したMt.Gox事件以来、仮想通貨には常にセキュリティやハッキングという言葉が付きものです。
しかし、仮想通貨には何も安全面にだけにリスクを持っているわけではありません。取引や外部要因にもリスクを持っています。
そのため、利用者はそれらのリスクを理解し、リスクを回避する準備や対策をとっておく必要があります。
取引に伴うリスク
価格変動リスク
仮想通貨の価格は大きく変動します。これは仮想通貨の取引をする大きな魅力でもありますが、同時に急激な価格変動によって大きな損失を被る可能性もあります。
また仮想通貨には、株式にある価格の急変を制限するストップ高やストップ安がなく、価格はどこまでも上昇しどこまでも下落します。
そのため対応策としては、常に価格の動向を意識し、これ以上損失が出る場合は決済するといった損切りラインを設定するのも重要です。
流動性リスク
流動性とは、取引所でどれほど容易に取引が行えるかを示すものです。そしてこの流動性は市場動向や取引量等の状況により変化します。
なぜこの性質がリスクに成りうるかというと、流動性が高いときは売買がいつでも可能なのですが、流動性が低くなると、取引が不可能もしくは困難となることがあるからです。
そのため価格の急変で取引をしたい時にできないといった事態が起きてしまい、結果不本意な価格での取引を余儀なくされる可能性があります。
この流動性は、取引の成立数を表す出来高に反映されやすいので、取引する仮想通貨の出来高も常に確認しておくことが肝心です。
送金リスク
仮想通貨はシステム上、一度送金をしたら取り消すことができません。そのため誤って大量の仮想通貨を送金してしまうといった事態も起きてしまいます。
また誤ったアドレスに送金すると、仮想通貨を完全に失ってしまうリスクもあります。
取引所では、サポートセンターに問い合わせることで対応してくれるようですが、回収不可能のリスクがゼロというわけではないので、送金の際には必ず取引額と送金先を確認する癖をつけておきましょう。
管理に伴うリスク
紛失リスク
自身のウォレットで仮想通貨の管理を行う場合、プライベートキーもしくはパスワードを紛失してしまうと、保有している仮想通貨に一切アクセスできなくなる可能性があります。
また設定時にIDやパスワードを適当に設定してしまい、アクセス時にわからなくなってしまう方もいるようです。
そのため、プライベートキーやパスワードなどは必ずどこかにメモをとり、ウォレットもバックアップを取っておくなど紛失のリスクに備える必要があります。
故障リスク
仮想通貨はPCといったハードウェアで保管することができますが、ハードウェアは必ずいつか故障するもので、中で保管している仮想通貨が回収不可能というリスクを伴います。
仮想通貨はデータなので復元も可能です。しかし、その復元に使用するプライベートキーを失ってしまうとやはり回収不可能になってしまうので、このようなキーはメモを取るなどして別管理を行う必要があります。
外部要因に伴うリスク
システム・ネットワーク障害リスク
外部環境の変化などで、取引所のシステムに障害が発生し、取引に支障が生じる場合があります。
時折サーバーがダウンするといった取引所がありますが、この時は取引が一切行えないといった状態です。
また仮想通貨はネットワークを使って取引認証を行っており、ネットワークでの確認が取れないと一定時間保留状態が続き、時には取引がキャンセルされる場合もあります。
価格変動が激しい仮想通貨において、このような取引所が利用できない状況は大きなリスクとなってしまいます。
盗難リスク
仮想通貨を取引する上で一番懸念されるのは、不正ログインやハッキングによる盗難リスクです。
これに関しては、多くの取引所がセキュリティ対策をとっていますが、それでも盗難のリスクが全くないとはいえません。
このようなリスクは一見、取引所側の問題に見えますが、盗難が起きたケースのほとんどが利用者が二段階認証を設定していなかったという問題が挙げられます。
また、オフライン環境で仮想通貨を保管するコールドストレージを提供している取引所を選択するのも、盗難リスクを回避する方法の一つです。
破綻リスク
取引所も企業です。そのため経営悪化により取引所自体が破産する可能性もあります。
万が一、仮想通貨を預けている取引所が事業を継続できなった場合、倒産法、会社法等に基づき手続きが行われ、最悪資産をすべて失う可能性があります。
そのため、一つの取引所にてすべての仮想通貨を保有するのではなく、できればいくつかの取引所で資産を等分することも考える必要があります。