現物取引とは、主に金融取引で使われる用語です。
通常の取引といった意味を持ち、ここでいう現物とは実際に保有しているもの、つまり実物や所有物を意味します。
ところが現物取引という言葉は金融取引に使用するので、何か専門的な意味を持っているかのように見えます。しかし実は、私たちの生活でもこの取引が当たり前のように行われています。
例えば、私たちが何か商品を購入したりするときは、レジなどに商品を持って行きます。そして伝えられた価格に代価としてお金を支払い商品を手にします。
実はこの時点ですでに現物取引が成立しています。なぜなら私たちは、現金などの実物をお店に渡すことで商品との交換を行っているからです。
つまり私たちは日常で、持っている物(所有物)を交換する取引=現物取引を行っているのです。
仮想通貨における現物取引
仮想通貨においても同様のことが言えます。
仮想通貨は実物がないため一見、現物取引はできないのではないかと考えられます。
しかし署名したデータを送受信するという特徴から、所有物の移転を行っていると考えることができます。
そしてこの考えは仮想通貨取引所でも採用されており、取引所での基本的な売買は現物取引だとされています。
現物取引の特徴と利点
現物取引の特徴は、その取引が全て自己資本によって行われるということです。
この取引は実物(所有物)を交換するというものなので、持っている物(所有物)=自己資本という関係が成り立ちます。つまり自分が保有している分のみを交換するということです。
これは考え方によっては利点となります。
現物取引では、自分が保有している分だけしか取引が行えないので、資本が0になることはあっても借金のようにマイナスになることはありません。
また資本の管理が行いやすいといったメリットもあります。
現物取引では、取引が成立した時に所有物の移転が行われるので、例えば1BTCを買うとトランザクションが完了した時点で1BTCがウォレットに反映されます。
現物取引における注文方法
仮想通貨を取引する場合は、注文方法を選択することができます。
この現物取引でも、大きく分けての3つの「指値注文」「成行注文」「逆指値注文」を選択することができます。
指値注文(Limit Order)
指値注文は、自分が指定する価格で注文を出すときに使われます。
例えばビットコインを日本円を使って購入する場合、BTC/JPYのペアに買い注文を出しますが、このとき「500,000JPYの価格で、1BTC分買い注文を出す」というように価格と量を指定するのが指値注文です。
指値注文は出せばすぐに取引が成立するというわけではありません。実際に取引が成立するのは、「1BTCを500,000JPYで売ってもいい」という注文が入ったときです。
例えば1BTC/500,000JPYの指値買い注文を出したとします。しかしその相場には1BTC/510,000JPYの売り注文しかありません。
ここで取引を成立させるには、支払うJPYを510,000に増やし1BTCを買うか、購入するBTCを0.98BTCに減らし、499,800JPYを支払うかといった指値注文を出す必要があります。
ここで注意しないといけないのは、指値の値によってはなかなか取引が成立しないという点です。
成行注文(Market Order)
自分が指定する価格で注文を出す指値に対し、相場に売買価格を任せる注文方法もあります。これを成行注文といいます。
成行注文は原則、成行買いの場合は最も安く売りたい人と、成行売りの場合は最も高く買いたい人との取引が成立します。
例えば、BTC/JPYのペアに買い注文を出すときに成行買い注文を出すとします。(成行注文ではBTCを0.1分買いたいというように数量だけを指定します。)
次に、相場には①0.1BTC/50,000JPYと②0.1BTC/51,000JPYと二つのの売り注文があったとします。
この場合どのように取引が成立するかというと、①0.1BTC/50,000JPYとの取引が成立します。なぜなら成行注文の原則から、0.1BTC/50,000JPYの方が安くBTCを手にすることができるからです。
ちなみに、成行注文は相場にある注文の中で最も高い/低い価格と取引が成立するため、注文を出すと比較的すぐに取引が成立します。
逆指値注文(Stop Order)
逆指値注文とは特別注文ともいわれ、ある一定の条件を加えた注文方法です。
具体的には、まずある一定の価格レートを事前に設定します。そして設定したレートで相場が取引を行うと、成行買いもしくは成行売りを自動的に執行するというものです。
例えば、1BTC/500,000JPYの価格帯で取引が行われている相場があり、そこに、1BTC/450,000JPYのレートを設定し、逆指値買いを注文するとします。
そして様々な価格で取引が行われ、ある時、相場で他のユーザーの取引が1BTC/450,000JPYで成立するとします。
その瞬間、成行買い注文が執行されます。そしてその相場で最も安い価格でBTCを手に入れることができます。
この逆指値は、あまり相場をチェックできない場合や、価格の急変動に対応するリスク回避などに用いられます。